山陰・島根の伝統漁師めし 元祖 鯖しゃぶ
島根半島の漁師たちの食文化「鯖しゃぶ」
それは、時間がゆっくり流れていた時代の漁師たちの酒の友だった。
昭和初期の島根県平田市小伊津港。
それは現代のように時間に追われず、ゆっくりと過ごせていた古き良き時代の話です。
当時の漁師たちは、海が荒れた時化の日には漁師小屋に集まり、火をおこし、醤油と酒をドボドボッと入れた鍋に、ぶつ切りにした玉ねぎをぶち込んで沸かし、そのつゆで皮付きのまま薄切りにした鯖をしゃぶしゃぶして食べていました。それをつまみに酒を酌み交わしながら談笑していたのです。
鯖の切り身を醤油と酒のつゆにサッとくぐらせることで、青魚特有のにおいを抑え、皮と身の間にある旨味と玉ねぎのくどくない甘みが、他にない美味しさを醸し出してくれる。
魚を知り尽くし、鯖を知り尽くした漁師たちが考えた、絶妙な漁師メシなのです。
恵まれた山陰沖の海産物。
酒が旨い地域だから醤油も美味しい。
和出汁でしゃぶしゃぶしてポン酢で食べる、いわゆる「魚しゃぶ」とは全く違う
山陰、島根半島だから生まれた古き良き時代の食文化です。
今から約二十五年前。 私が初めてこの「鯖しゃぶ」を知った時には、本当に感激しました。
その後、仲間と試行錯誤を繰り返して忠実に再現し、漁師小屋「麦穂」の開業以来、当店の看板メニューとして、元祖「鯖しゃぶ」を沢山の方にご提供し続けてまいりました。
これは、単なる居酒屋のいち商品というより、地域の食文化の継承であると思っています。
この元祖「鯖しゃぶ」は、全国を渡り歩いて旨いもん食べ尽くしたと豪語される食通のお客様からも「こんな食べ方は初めてだ」と喜んでいただいたほどです。
元祖「鯖しゃぶ」は当店だけで食べることができます。
是非、この古き良き時代の島根半島の食文化「鯖しゃぶ」をご堪能ください。
店主 麦穂浩二